ヤンダアプローチという身体へのアプローチ方法があります。
これはチェコの神経学者であり、リハビリテーション医である、ブラディミア・ヤンダ(Vladimir Janda 1923-2002)が考案したことから、ヤンダアプローチと呼ばれています。
この中に、
「上位交差性症候群」と、
「下位交差性症候群」と呼ばれるものがあります。
この「上位交差性症候群」は主に肩こりに、「下位交差性症候群」は腰痛と関りがあります。
先日の「肩こりについて。」のブログの中で、肩こりについて書きましたので、今回は肩こりに関係のある「上位交差性症候群」について説明します。
「肩こりについて。」の中で、頭部のポジションが前方に突出したとき、通常時以上の頭の重さが肩の部分に掛かるというお話をしました。
(なんと5センチ前で15kg増!詳しくはブログをどうぞ。)
人の身体は頭部が前に出ていたとしても、頭部を安定させないと生きるのに危険が伴うので、余計に筋肉を働かせてなんとか頭部を安定させようとします。
その時、主に働く筋肉は僧帽筋の上部線維で、いわゆる「肩こり筋」と呼ばれるものです。
さて、僧帽筋上部が余計に働いた時、他の筋肉には影響を及ぼさないのでしょうか?
答えは「及ぼす」です。
図のように上下がクロスして、筋の長さの短くなる方と長くなる方が出てきます。
これを筋の短縮と伸長と呼びますが、この場合はどちらの筋肉も動いていないので、弱化=機能不全を起こします。
肩こり筋の僧帽筋上部とカップリングするのは、大胸筋上部~中部です。
この二つが「短く硬く弱く」なり、その逆のクロスのラインの僧帽筋下部と胸鎖乳突筋が「長く硬く弱く」なります。
もちろん他にも細かな筋肉が介在してきますし、肩こりの原因がこの上位交差性症候群だとしても、上位交差性症候群を起こしている原因が他にあるケースもあります。
ですので、根本原因を探して、全身が上手く機能するように調整をするオステオパシーは、慢性的な肩こりにとても、効果的だといえるでしょう。
≪ちなみにヤンダアプローチの本の帯の推薦は、元ハンマー投げのオリンピアンの室伏広治氏が書いていました。痛みや健康はもちろん、身体の動作やトレーニングにも大切な考え方の一つです。≫